駅前貸店舗の立退きを実現したケース

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 対象建物は、駅前に所在する築50年以上の2階建て貸店舗でした。

(2)賃貸借契約に関する事項
 受任時、1階の飲食店1件と小売店1件が入居中で、その他は全て退去が完了していました。飲食店の賃貸借契約は契約期間中であったため、契約上の中途解約規定に基づき解約の申入れを行い、小売店の賃貸借契約は法定更新されていたため、解約の申入れを行いました。

課題、争点

(1)解除原因または正当事由
 いずれの借主にも契約違反等の解除原因はなかったため、老朽化による建物取壊しの必要性を正当事由として主張する方針としました。

(2)立退料
 いずれの借主からも営業補償を請求され、立退料が大きな争点となりました。
結果的には、飲食店:1500万円、小売店:900万円の立退料を支払うことで明渡の合意が成立しました。

交渉、解決のポイント

(1)調停手続の活用
 飲食店からは、立退には一切応じないという回答があり、話し合いを拒絶されたため、調停の申立を行いました。調停委員を通じて話し合いを重ねる中で、最終的には相手方が金銭的な解決に応じる姿勢を示し、一定の期限内に退去する旨の調停が成立しました。

(2)営業補償の金額の算定
 小売店との交渉では、営業補償の金額が大きな争点となりましたが、先方より売上や利益に関する資料を提出してもらい、当該資料や裁判例に基づき当方が妥当と考える補償額を算出し、相手方との協議を進めました。その結果、合理的な範囲内で立退料の合意をすることができました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 退去完了後、新たな建築計画に着手することができました。

担当弁護士のひとこと

 貸店舗の退去交渉においては、立退料(特に営業補償)が大きなポイントとなります。営業補償の金額を合理的に算出するためには、賃借人の当該店舗における売上等に関する資料の開示が不可欠となりますが、なかなか開示に協力してもらえないケースもあります。
 本件では、小売店からは売上等に関する資料の開示を受けることができ、このことが合意による解決に繋がったと考えられます。



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