美容系テナントにつき裁判上の和解で立退きを実現した事案

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 都内の一等地にある鉄筋コンクリート造5階建の商業ビルで、各階の区画は9つのテナントに賃貸されていました。建築後35年程度が経過しているものの、鉄筋コンクリート造であるため、まだまだ耐久性力のある状態でしたが、駅前開発が進み、周辺の建物がリニューアルされる中で、対象建物のみが開発に取り残されたことから、貸主は建替えを行うことを決断されました。

(2)建物賃貸借契約に関する事項
 1・2階を利用している美容系テナント(借主)との建物賃貸借期間は3年とされているものの、更新がなされないままの状況が続き、受任した時点では、期間の定めのない契約となっていました。当該借主以外は任意に早期退去したものの、借主のみが、一等地の駅前という現在の環境に代わる物件がないということを理由に、退去に応じない姿勢であったため、やむを得ず訴訟提起をしました。

課題、争点

(1)解除原因または正当事由
 借主には契約違反等の解除原因がなく、建物の老朽化、建物敷地の有効活用を正当事由とした明渡請求の事案です。

(2)立退料について
 貸主の当初予算は4000万円でしたが、訴訟上の和解で3000万円に止めることができました。

交渉、解決のポイント

 他のテナントが早期に退去する目処が立ったため、借主との協議を早々に打ち切り、訴訟提起をして裁判上で和解することを目指しました。訴訟手続きでは、移転先物件が周辺に多数あることを示す証拠、立退料の私的鑑定書を提出したことで、退去を前提にした立退料の問題が争点として扱われることとなり、貸主の予算内の立退料の支払いで立退きが実現できたという事案です。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 現在、開発された街に馴染んだ新たな商業ビルが新築されています。

担当弁護士のひとこと

 裁判上の和解を選択することで、時間的にも経済的にも貸主の負担を大幅に軽減できました。退去を前提にした交渉が難航するときは、早めに交渉を打ち切って訴訟提起をすることが得策である場合が多いと思われます。



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