店舗テナントにつき裁判上の和解で立退きを実現したケース

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 千葉県の最寄り駅から徒歩3分圏内の店舗、住居用マンションが立ち並ぶエリアに存在する木造1階建ての建物で、不動産会社に賃貸されていました。

(2)建物賃貸借契約に関する事項
 貸主は貸主の親より対象建物を相続により取得しています。
 貸主の親が、借主に対し、対象建物にて借主が不動産会社の店舗として利用する目的で賃貸していました。
 貸主の親は、高齢のため施設へ長い間入所しており、その間に、借主が対象建物を転貸していたものですが、対象建物を相続により取得した貸主は転貸の事実をしばらく把握できずに数年経過していたという事案です。

課題、争点

(1)解除原因
 無断転貸を理由として、借主に対して賃貸借契約解除の意思表示を行うとともに、借主及び転借人に対して明渡しを求めました。

(2)立退料について
 賃貸借契約につき無断転貸などの法定解除原因が存在する場合は、法律上立退料の提供は不要ですが、貸主には、対象建物の敷地を有効利用する計画があり、早期に解決する必要性があったことから、立退料として300万円程度を支払うことを想定していました。

交渉、解決のポイント

 借主及び転借人のいずれも、貸主又は貸主の親から、転貸についての明示的な承諾又は黙示的な承諾があったことを主張し、退去に応じない姿勢を示したため、当方は貸主の依頼を受け、両者に対して明渡訴訟を提起しました。
 借主及び転借人は、訴訟手続きにおいても退去に応じない姿勢を崩さなかったため、貸主は、対象建物の敷地の有効利用計画を早く進めるため、借主及び転借人に対し立退料の支払いの意思を示し、これが発端となって裁判上の和解が成立し、和解成立後1か月に立退きを実現させることができました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 対象建物の敷地には3階建ての建物を建築することが可能でした。対象建物を取壊して建替えたことにより、その後は従前の賃料の4倍を超える条件で建物を賃貸することができています。

担当弁護士のひとこと

 明渡請求訴訟を提起して、立退料なしで明渡判決を得ることができる事案でしたが、判決の取得(判決の確定)までに長い時間を要するリスクがあったことから、裁判上の和解を選択し、結果として、貸主にとって、時間的・経済的なメリットが生じています。解決時期や解決手段を決定する際、個別具体的な案件に応じて貸主にとって最大のメリットは何かを丁寧に検討していくことが重要であると思われます。



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