一団の土地にある合計14戸の建物の明渡しに成功した事例

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 愛知県所在の1500㎡の土地に2軒長屋(平家)が7軒で合計14戸の借家、建物の床面積は合計で約800㎡。一部空家もあり9戸が居住目的で利用されている状況。対象建物は住宅街にあり最寄駅からは徒歩20分程度の距離でした。

(2)建物賃貸借契約に関する事項
 建物建築から約60年が経過しており、建物は外観上一見して老朽化が確認できる状況でした。貸主も高齢となり近い将来不動産の管理の継続が容易ではない状況となることを見越して、家族と相談の上、本件土地の売却を決断し、建物賃貸借契約の更新を拒絶して借主に退去を求めることとしました。

(3)特記事項
 賃貸借契約書が存在しないため、契約期間・賃料などの契約内容が不明な状況でした。

課題、争点

(1)契約内容の確認
 契約内容が不明であったため、立退きの交渉に先立ち、借主全員との間で賃貸借契約の内容を確認する書面を作成しました。
 書面を作成する際に、各借主に建物老朽化のため近い将来に退去をお願いする可能性があることを説明したところ、退去自体に拒否反応を示す借主はいなかったため、もし退去をお願いする場合は、貸主において転居先の探索、引っ越し業者の紹介等、可能な範囲でサポートをする旨を説明しました。
 その後、1年ほど期間を置き、退去の申入れを行いました。

(2)立退料について
 立退料は移転実費等を含め各賃借人 30万円~50万円。

交渉、解決のポイント

 長年にわたる借主が多く、高齢の借主も多かったことから、円満退去を実現して欲しいと要望を受けていた案件でした。
賃貸借契約の内容を確認する書面を作成する時点で、将来の売却の方針が決まっていたことから、ある程度時間をかけて借主との人間関係の形成や退去に向けた地ならしを行うことができたことにより、実際に退去を申し入れた際もスムーズに退去合意書を作成することができました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 建物は全て取り壊して、不動産会社に一団の土地を全て売却、分譲住宅地として販売され、現在は新しい建物に若い世代の家族が居住しています。近隣の方からも一帯がきれいになり、若い世代の方が来てくれてよかったとの声を頂きました。

担当弁護士のひとこと

 立退きに向けた法的な正当性のみならず、あらかじめ最終目的に向けた数年単位の計画を入念に練り、借主との接触を早期に実施することがスムーズな解決に向けて重要であることを、改めて認識した事案でした。



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