老朽化した戸建貸し建物2棟の立退きを実現したケース

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 賃貸人は千葉県内の住宅街に木造瓦葺2階建ての戸建貸し建物4棟を有していました。
そのうち2棟は空き家で賃借人の募集も停止していましたが、残り2棟は賃貸中で、賃借人が居住していました。

(2)建物賃貸借契約に関する事項
 築後50年近くを経過した木造建物で、老朽化が進行していたため、賃料は月額7万円という近隣の貸し建物に比べて極めて低廉な金額でした。
 賃貸人は、貸し建物の敷地を有効活用したいと考え、当事務所に立退き交渉を依頼しました。

課題、争点

(1)解除事由、正当事由
 建物の老朽化、建替えの必要性が主たる正当事由でしたが、同じような面積の戸建貸し建物ないしアパートの空き家が近隣に多数存在することも正当事由として主張しました。

(2)立退料について
 合計約200万円です。

交渉、解決のポイント

 賃借人らは、立退き自体は拒絶しておらず、引っ越し先の確保と、相当の立退料の支払いがあれば立ち退くとの意思を示していたため、当初は話し合いでの解決を目指しました。
 賃借人らから、希望する立地、家賃、床面積、間取り等を聴き取った上で、近隣の不動産業者から紹介を受けた戸建貸し建物及びアパートの情報を多数紹介し、引っ越し先を確保してもらうよう尽力しました。

 ところが、賃借人らは、紹介した物件について、間取りが悪い、設備が古いなどと、ことごとく文句をつけ、真摯に引越し先を探そうという態度を見せませんでした。
 このままでは解決が長引くと思われたため、当方は、明渡訴訟を提起した上で和解交渉をする方針に切り替えました。

 担当した裁判官は、老朽化が進行していること、借家人らが引越し先があれば立ち退く旨の意思を示していたことなどの事情を加味し、一人100万円の立退料の支払いがあれば正当事由が充足されるとの心証を示したため、その内容で早期に和解が成立しました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 老朽化した戸建貸し建物4棟は速やかに取り壊され、広い更地となったため、賃貸人は同土地を自由に使用収益することができるようになりました。

担当弁護士のひとこと

 明渡訴訟を提起することは、話し合いで解決することより時間がかかるものと思われがちです。
 しかし、賃借人側が話し合いに真摯に応じない場合などは、速やかに訴訟提起に切り替え、正当事由についての主張立証を早期に尽くし、裁判官に立退きが相当であるとの心証を抱いてもらい、裁判官から賃借人を説得してもらうことで、早期の和解成立に結び付けることが可能になります。



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