作業所兼倉庫につき、話し合いでの立退きを実現したケース

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)建物の状況
 賃貸人は埼玉県内の住宅街に、作業所兼倉庫を所有し、賃借人(法人)に賃貸していました。賃借人は同建物を使用し、梱包作業を請け負う業務を行っていました。

(2)建物賃貸借契約に関する事項
 建物賃貸借契約は、30年以上前に締結されており、2年ごとに更新されていました。
 しかし、建物は老朽化し、また、作業所において人が作業している様子が見受けられなくなり、ほぼ空き家の状態になっていたことから、賃貸人は当事務所に建物の立退き交渉を依頼しました。

課題、争点

(1)解除事由、正当事由
 建物の老朽化、賃貸人に土地の有効活用計画の必要性があること、賃借人が作業所において事業を行っておらず、建物使用の必要性が低いことを主張しました。

(2)立退料について
 賃借人は当初3000万円の立退料を求めましたが、交渉の結果、400万円での立退きに応じました。

交渉、解決のポイント

 賃借人に代理人弁護士が就任し、3000万円の立退料の支払いを求めていましたが、同代理人との交渉においては、明渡訴訟になれば、立退料なしか、低い立退料で正当事由が認められるであろうことを強調し、高額な立退料を支払う考えはないことを示しました。

 代理人弁護士との交渉と同時に、本件の賃貸借契約の仲介を行った不動産業者に対し、代替物件の紹介をするよう依頼していたところ、賃借人が望む代替物件が見つかり、これを確保するために、賃借人は、賃貸人が提示していた400万円の立退料の支払いを条件に建物を明け渡すことに応じました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 作業所兼倉庫は速やかに取り壊され、現在は新しいマンションが建築されており、賃貸人において土地の有効活用が図られています。

担当弁護士のひとこと

 立退き交渉において賃借人が高額な立退料を要望していても、希望に沿う代替物件が見つかれば、その代替物件の確保のために速やかに移転する必要が生じるため、比較的容易に話し合いがまとまります。
 単に立ち退くよう要求するだけではなく、賃借人が希望する条件を丁寧に聴き取り、希望に沿う代替物件を提案していく努力が肝要です。



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