農地として賃貸していた土地の一部を借主に売却し、残りの部分を立退料の支払いなく立退きを完了したケース

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)土地の状況
 対象土地は近畿地方の都市の郊外で、田や畑の広がるおよそ300㎡ほどの土地(地目も現況も畑)で、小規模ながら農作物が栽培されていました。

(2)土地賃貸借契約に関する事項
 対象土地の賃貸借は、借主が耕作をする目的で、30年ほど前から始まったもので、契約書は作成されておらず、期間の取り決めもなく、賃料は年額で1万円にも満たないものでした。
 ただし、農地としての賃貸借であることについて農業委員会の許可は得ていませんでした。

課題、争点

(1)解除原因
 農地法に基づく農業委員会の許可を得ないでなされた賃貸借は無効であると主張して、対象土地の返還を請求しました。

(2)立退料について
 貸主としては、200万円くらいまでであれば立退料を支払ってもよいと考えていましたが、最終的には、対象土地の一部を借主に100万円で売却することとし、残りの部分については立退料を支払うことなく解決・立退完了することとなりました。

交渉、解決のポイント

 借主に対して立退きを求めて話合いの申入れをしましたが、借主は立退きに応じるつもりはないの一点張りであったため、立退きを求める訴訟を提起したところ、裁判官から和解勧告があり、和解協議の結果、上記の内容での和解が成立し(交渉開始から1年6か月後)、そのおよそ4か月後に立退きも完了して解決となりました。

 訴訟を提起して効果的な主張立証と不退転の覚悟を示しつつ、対象土地についての貸主の計画・予定を踏まえながらも、借主の意向・希望を可能な限り考慮して柔軟に解決策を検討したことで、結果的に、貸主が満足する解決に至ることができました。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 貸主が借主から立退き=明渡しを受けた土地は以前から京都市による収用の計画があり、和解による解決後、貸主は京都市からの補償金の全額を受け取ることができました。

担当弁護士のひとこと

 和解成立に際して作成される和解条項の内容を詰めるにあたって、対象土地の分筆などを行う関係で、司法書士や土地家屋調査士、農業委員会や法務局などさまざまな専門家や関係機関への事前の問合せや相談が必要となる一件でした。



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