平屋建一軒家の借地返還に成功した事例

※ 弁護士の守秘義務に関する日弁連規程第4条第4号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

ケースの概要

(1)土地の状況
 愛知県所在の宅地約200㎡の土地上に、平屋建ての一軒家が建っている。対象土地は、最寄駅から徒歩約10分程度の距離にあり、周辺は閑静な住宅街となっている。

(2)土地賃貸借契約に関する事項
 対象土地の借主は、平屋建て一軒家の所有者であり、親の代から既に50年以上、対象土地に居住している。建物は木造で築50年以上が経過しており、相当に老朽化している。借主は、度々地代の支払が滞っており、滞納地代は合計で1年分に達していた。

(3)特記事項
 対象土地の借主は攻撃的な性格であり、滞納している地代の支払いを求める地主に対して、怒鳴り散らすなどの問題行動を起こす人物であった。

課題、争点

(1)解除原因または正当事由
 地代の支払いを1年分滞納していることから、地代の不払いによる土地賃貸借契約の解除を求めた。

(2)立退料について
 借主側の契約違反(地代の不払い)による解除であることから、立退料の支払い義務は無し。

交渉、解決のポイント

 借主は攻撃的な性格であり、まともな話し合いは期待できないことから、弁護士名で地代の不払いを理由に土地賃貸借契約の解除を求める内容証明郵便を借主側に発送した。そのうえで、借主が任意に退去しない場合は、訴訟を提起し、強制執行により対象土地の明渡しを実現することを伝え、強気の姿勢で交渉した。当初は、その攻撃的な性格から開き直ったような態度で応じていた借主であったが、訴訟になれば旗色が悪いことを徐々に認識するに至り、借主側も弁護士を立てて本格的な交渉に入ることとなった。

 借主側は、対象土地から退去すること自体は了承したものの、経済的に苦しく、一軒家の解体費用を捻出することができないことから、一軒家を現状のままにして対象土地を返還したいという条件を提示した。法律上は、一軒家の解体は借主側の義務であり、地主側が解体費用を負担する理由は無いものの、仮に訴訟となって強制執行をした場合でも、借主側にお金が無いため、結局一軒家の解体費用は地主側が負担せざるを得ないという状況であった。そこで、訴訟や強制執行の手間・費用を節約するために、借主側の条件を受け入れ、一軒家を現状のままにして対象土地を返還するという内容で合意するに至り、対象土地の返還が実現した。

解決後の姿、解決により貸し主が享受した利益

 対象土地の返還後、地主側の負担で一軒家を取り壊し、更地になった対象土地の上に新たに賃貸アパートを建築することで、土地の再利用に繋がった。

担当弁護士のひとこと

 借主が攻撃的な性格で当初は全く話し合いにならない状況でしたが、早々に訴訟・強制執行という法的な手段を明確に提示して強気で交渉したことが功を奏し、交渉から3カ月程度で対象土地の明渡しに合意することができました。

 一軒家の解体費用が地主負担となったことは残念でしたが、お金の無い借主から解体費用を回収することは不可能であると早々に割り切って訴訟・強制執行の手間と費用をかけずに早期に解決できたことは、結果的に地主にとって最良の結果であったと思っています。



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