3 貸し建物の立退きができる場合と立退きの方法
(3)借地借家法又は借家法が適用されない借家の立退き
イ 賃貸借契約の期間が終了した場合、または契約期間が定められていない場合の立退きとその方法
a 契約期間が定められている場合
契約期間が終了すると賃貸借契約も当然に終了します。そのため、賃貸人は存続期間の終了を理由に立退きを求めることができます。この場合、正当事由は必要ではなく、立退料を支払う必要もありません。
なお、民法604条1項には、借家法の適用のない賃貸借契約の期間は最長で50年と定められています。
また、賃借人が契約期間終了後も貸し建物を利用し続け、賃貸人がその事実を知りつつ異議を述べなかった場合、賃貸借契約が従前の内容と同じ条件で更新されたものと推定される可能性があります(民法619条第1項)。そのため、賃貸人は期間終了後の利用継続に対して速やかに異議を述べることが重要です。
b 契約期間が定められていない場合
民法617条1項2号によれば、契約期間が定められていない場合、賃貸人はいつでも解約の申入れができます。解約申入れの意思表示が賃借人に到達してから3か月が経過した時に賃貸借契約は終了し、立退きを求めることができます。この場合も正当事由は必要ではなく、立退料を支払う必要はありません。