4 貸し土地の立退きの急所
1 貸し土地に特有の課題(借地期間)
基本的には貸家の立退きの場合と同様ですが、正当事由にもとづく借地契約(建物所有を目的とする土地賃貸借契約)の更新拒絶が必要な場合は、契約期間について殊のほか慎重に吟味する必要があります。
なぜなら、借地契約においては、必ず法律上契約期間(借地権の存続期間)が存在し、同期間満了の直前(期間満了時点に接着する時期)に借地契約の更新拒絶の通知をしなければ、借地期間が相当長期間(地上建物の構造によって30年または20年)更新されてしまうからです。
2 立退き交渉成立の見込みがある場合の対応指針
借地契約の期間満了時間に接着した時期に借地契約の更新拒絶の通知をした場合は、立退き交渉を進め、交渉成立の見込みがあるかないかを見極め、見込みがある場合は交渉成立に向けて激しく活動すべきです。交渉成立の見込みがないと判断される場合は、速やかに土地明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決に向けて主張立証を尽くします。
判決に至るまでに、裁判官から土地明渡の方向での和解の勧告がなされることがありますが、その場合に積極的に和解条件を提示するなどして和解成立に向けて努力することは貸し建物の場合と同じです。
3 借地期間の満了時期が遠い将来である場合の対応方針
借地期間の満了時期が十数年先であったり、借地期間の満了時期は近いのに、正当事由が不十分な場合でも、立退き交渉を進めることはできますが、多くの場合、借地人が多額の立退料を要求するため、交渉は難航します。
しかし、このような場合、もしも土地の貸し主において、その土地を第三者に売却することも可という意向がある場合は、借地人が要求する立退料額を念頭に置いて、土地と借地権を同時に買受ける第三者が提供する売買代金を、地主と借地人が5:5で分配するようなケースもあり、双方ともに当初想定した額より高い金額を取得する結果となります。