4 貸し建物の立退きの急所
(1)解決への見通しを立てる
債務不履行にもとづく賃貸借契約の法定解除の場合にしろ、正当事由にもとづく賃貸借契約の更新拒絶または解約申入れの場合にしろ、まずは借り主が任意に立ち退きしない場合に法的手続きにより強制的に立ち退かせることができるか否かを判断します。債務不履行の程度、解約申入れの時期、正当事由の有無程度を考慮し、立退料の要否、必要な立退料の金額等の見通しを立てます。
(2)解決の見込みがある場合の手順
立退き判決を得られる見込みがある場合は、立退き成立の見込みがあるか否かを見極め、見込みがある場合は交渉成立に向けて努力を尽くします。
交渉成立の見込みがない場合は、速やかに立退き訴訟を提起し、勝訴判決に向けて主張立証を尽くします。判決に至るまでの間に、裁判官から立ち退きの方向での和解の勧告がなされることがありますが、その場合は積極的に和解条件を提示するなどして和解成立に向けて努力します。
(3)解決の見込みがない場合
正当事由が不十分で立退き判決を得られる見込みがない場合でも、立退き交渉を進めることはできますが、借り主から立退料の提示がない場合や、提示された立退料が当初の予算を大きくオーバーする場合は、交渉を断念します。